梅雨の晴れ間で、朝から暑い日です。静かな住宅地を抜けて、林へ入ります。最初の観察地ではいい風が吹き、葉がそよぐ音を心地よく感じます。メジロが力強くさえずっていましたが、この時期のさえずりにはどんな意味があるのでしょう。
ムクロジの「花音」を聴きながら、カタカナで何と表現するのが正解かななどと考えながら、気配の少ない林に目を凝らします。進行方向からカァ カァとカラス幼鳥のか細い声が聞こえますが、グワー グワーという親鳥が興奮したような声も聞こえ、念のために折り畳み傘を取り出しました。幼鳥を観察したいのですが、親鳥の機嫌が悪いと許してくれないことがあります。威嚇の低空飛行をされたら、傘をさしてケガを防ごうという備えです。まあ、親鳥に背後を取られなければ、低空飛行もないのですが(正面からは来ない)。
親鳥が幼鳥に給餌しているのを少し離れた位置から見ました。ゆっくり近づいていきますが、親鳥がこちらを気にするようすはありません。幼鳥に餌乞いされ、親鳥はエノキの幹が分かれる又にとまりました。そこに顔を突っ込み、ゴソゴソしたかと思うと、幼鳥の元に戻りました。葉に隠されてはっきり見えませんでしたが、カァ カァカァカァ アウングゥという幼鳥の声で、給餌を受けたことがわかります。小鳥と違って、親鳥は幼鳥の口の中にくちばしを入れ、そ嚢の中の餌を戻して与えます。だから、幼鳥は給餌を受けたときにウグゥと、こもった声を出すのです。あまり間を置かず、親鳥は再びエノキに飛んできて同じ位置にとまりました。又に顔を突っ込み、貯蔵していた食物をそ嚢に放り込んで、幼鳥の元へ飛んでいきます。今度は見える位置に幼鳥がいてくれたので、よく観察できました。親鳥は3回ほど給餌し、再び餌を取りに飛んでいきました。
この観察からわかったことがあります。食べ物が少なくなる時期に備えて、木の実などをあちこちに貯蔵し、のちに取り出して食べることを貯食といいます。しかし、ハシブトガラスがおこなっていたのは食料減への備えではなく、子育ての効率化です。繁殖期、なわばり内のあちこちに食物を貯蔵しておけば、幼鳥を残してあちこち食物を探し回る必要はなくなります。効率的に給餌できるし、留守中に幼鳥が襲われるリスクも減らすことができます。なんとかしこいのでしょう! さすがカラスです。
よく観察すると、新たな発見がある。わかると楽しい。だから野鳥観察はやめられないのです。
1. キジバト、2. カイツブリ、3. カワセミ、4. コゲラ、5. オナガ、6. ハシボソガラス、7. ハシブトガラス、8. ヤマガラ、9. シジュウカラ、10. ヒヨドリ、11. ツバメ、12. メジロ、13. ムクドリ、14. スズメ、15. ドバト、16. ホンセイインコ