早朝、窓を開けるとモズの高鳴きが聞こえます。その声は、向かいの棟からは聞こえません。以前と鳴く場所が変わったようです。住宅地を歩いていると、ビーッというセグロセキレイの声。姿は捉え損ねました。
台風の影響か、風がありました。林の木々が揺らされるので、鳥を見つけにくい条件です。でも、枝葉の揺れと違うベクトルに動く影は目に入ってきます。見つけたのはことごとくいつもの子でした。今朝は住宅地からコゲラの声を聞いていましたが、林で見かけるのもことごとくコゲラでした。ヒッ チュルルルルル ヒッというキビタキの地鳴きはかなり多く聞きました。
探索を進めると、ふわーっと滑空してチョウが近づいてきました。飛び方とシルエット、色み……アサギマダラです。暗いのでシャッタースピードを稼げませんでしたが、飛翔撮影しました。真横を抜けていった渡りのチョウをもう少し撮ろうと追いましたが、意外と追いつけません。撮ろうとしてもずっと後ろ姿です。ふわふわゆっくりしているようでいて速度はそれなりで、同じ方向へまっしぐらに飛ぶのだとわかりました。これでは追い越されたら、もう後ろ姿しか撮れません。
渡り鳥は撮れませんでしたが、あとの予定もあったので林はあきらめて池へ降りることにしました。定点で振り返っても何も飛んでおらず、大阪万博より少し早く「鬼ごっこ」が閉幕した池は静かでした。遠くからこちらのほうへ飛んでくる鳥が見えたので、手元でカメラの電源を入れて起動し、構えました。コサギがジグザグ飛びながら、池を仕切るネットの上にとまりました。同じ飛び方をしてくれないかなと思い「離陸」に備えましたが、落ち着いたようでした。近くにはヒドリガモもとまっています。その近くを通り過ぎようとしたとき、コサギが水面にくちばしを近づけて構えていました。これは!と直感し、カメラを向けて観察していると、くちばしを水面につけてブクブクし始めました! いつか観たい撮りたいと願っていた「波紋漁法」です。『身近な野鳥の観察図鑑』のコサギのページで紹介した行動で、くちばしを水面につけて波動を起こすことで、魚を誘引して捕食する狩りです。まったくの推測ですが、水面で振動(波動)を起こすことで、ターゲットの魚をだましておびき寄せ、寄ってきたところをパクっとやるのでしょう。魚にとってはコサギが起こす波動が、水面に落ちた虫がもがいているように錯覚するのでしょう。読みが当たったことで、波紋を起こすところから、捕食に成功するまでの一連の場面を撮ることができました。夏に熊本で撮影に成功したササゴイの「投釣り」に続く成果です。やった! この動画は編集中の図鑑に使うことにしましょう。その後もコサギは波紋漁法を繰り返しましたが、熊本のササゴイの「釣り」に比べると成功率は低く、20回行って2回成功というところでした。でもとにかくコサギもササゴイも、知恵と行動で採食の成功率や効率を上げる賢い鳥だということは間違いありません。興味深い観察ができてうれしい日でした。
1. ヒドリガモ、2. カルガモ、3. キンクロハジロ、4. キジバト、5. カイツブリ、6. カワウ、7. コサギ、8. カワセミ、9. コゲラ、10. モズ、11. ハシボソガラス、12. ハシブトガラス、13. ヤマガラ、14. シジュウカラ、15. ヒヨドリ、16. メジロ、17. ムクドリ、18. キビタキ、19. スズメ、20. ハクセキレイ、21. セグロセキレイ、22. ドバト、23. ホンセイインコ