週間予報で傘マークを見たときには、すわ2回連続雨天中止か!と落ち込みました。でも、当日は強風の日と、雨の日の間になって天気は良好。集合場所では、今シーズン多いツグミが魅せてくれました。
参加者が集まっているとき、中型の鳥が飛んできて参加者の輪のど真ん中の木にとまりました。
ヒヨドリだと思って流した人が多かったのですが、わたしにはその鳥がとまった後の翼を震わせる動きが目にとまりました。身近な野鳥の観察図鑑でも紹介している、ツグミの「翼を震わせる動き」です。とまった木の樹皮からムクノキであることもわかり、「ツグミですよー。ムクノキの実を食べるでしょう」と参加者に声をかけました。



ツグミをじっくり観察した後には、シジュウカラ主体の混群がやってきました。コゲラ、メジロが混じっています。活発に探索するシジュウカラの動きがよく観察できました。シジュウカラといえば鈴木俊貴さんということで、月刊誌のインタビューで伺った話の一部を紹介。身近な小鳥をしっかり観察することで、世の中を変えることだってできることをお伝えしました。さて、目の前のシジュウカラはというと、採食に夢中であまり会話を交わしていないのでした。充実した観察が続いて集合場所から進まないのは、まるで変形菌の観察会のようです。
空っぽの池には珍しくヒドリガモ、オカヨシガモがそれぞれ1羽います。マガモは前からいた個体でしょうか。多くは潜水採食のキンクロハジロで、水面採食ガモはわずかです。カモの数が少ないこと、カワウを追い出してしまったのでいなくなってしまったことなど、池に関しては冬鳥さんたちの「住み心地」はよくないことをお話ししました。
そんな寂しい池でしたが、茂っているヒメガマの中からジッ ジッという音が聞こえました。水位が高い位置だったので、通行人のアクセサリーから出ている音かと思いましたが、アオジが目の前に飛び出してまた戻りました。こんな水面のすぐ上にもいるのですね。茂っているのでなかなか見えませんが、目を凝らすと細かな動きが見えます。そして、しばらく見ていると飛び出して、対岸のヨシ原に渡っていきました。2羽くらいかと思っていましたが、飛んでいったのは5羽。見えているのは一部に過ぎないのですね。飛んでいった先のヨシ原のすっかり葉が落ちたカツラには、カワラヒワが1羽ぽつんととまっていました。

次に人馴れした名物ゴイサギを紹介しました。明るい時間にいつも決まったやぶで寝ている子がいて、信じられないほど無防備なのです。そういう「自然な人馴れ」が井の頭公園の野鳥に見られる傾向で、ほかにカイツブリ、カワセミ、オオタカなどが挙げられます。ほかのフィールドで観察している人が当地を訪れると、必ず驚きます。そんな鳥たちの信頼を裏切らないよう注意を払いながら、距離の近さを楽しむよう心がけています。

林で冬鳥を探したいので、後半は足早に進めました。ムクノキにとまるシメを見つけたあとは、イヌシデの実を食べるカワラヒワを観察します。シデの実の翼がはらはらと落ちてくるようすから、上に鳥がいることがわかりますよと紹介。観察会後に、公園の見え方が変わりましたと言っていただきました。終了時間になろうというとき、スタッフが上空を飛んでいる猛禽類を発見。確認すると、翼角が出るフォルムで下面が白いので、ミサゴだとわかりました。戦利品を持っているように見えます。撮影して拡大してみると、その足指には立派な魚が握られていました。
キクイタダキやヒガラ、ウソを見つけたいところでしたが、時間になったので鳥合わせを行って終了しました。それにしても、2時間で起きたイベントの数々。鳥見は楽しくて仕方がありません。

1. オカヨシガモ、2. ヒドリガモ、3. カルガモ、4. マガモ、5. キンクロハジロ、6. キジバト、7. オオバン、8. カイツブリ、9. ゴイサギ、10. アオサギ、11. ミサゴ、12. コゲラ、13. ハシボソガラス、14. ハシブトガラス、15. ヤマガラ、16. シジュウカラ、17. ヒヨドリ、18. エナガ、19. メジロ、20. シロハラ、21. ツグミ、22. キセキレイ、23. ハクセキレイ、24. シメ、25. カワラヒワ、26. アオジ、27. ドバト、28. ホンセイインコ