2日間の我孫子通いが終了。本づくりの仕事はやるべきことが山積していますが、今日はペースを落とすことにしました。久しぶりに時間無制限での鳥見です。幸せを感じます。
井の頭公園までの住宅地上空をビーと鳴きながら飛んでいったのは1羽のビンズイ。撮影はできませんでしたが、冬鳥が渡っていることを感じられるだけでわくわくします。最初の観察地ではシメの声が聞こえました。背後から飛んでいってエノキの梢に入った小鳥が見えたので、覗き込んでみると実を食べていました。上空をツィーとツグミ属が通り過ぎ、ケケッと2羽のツグミも飛んでいきます。冬鳥がよく動いていて、冬シーズンの鳥見が楽しくなる予感。シメは太い枝の向こうで、しばらく動かないようなので、探索を進めることにしました。そろそろ、青い鳥がやってくる頃なので、昨シーズン毎日のように駆け引きした場所も確認しに行きました。そこでは見つかりませんでしたが、今後もチェックしていきたいと思います。
林の中心部の探索を進めると、ヒッ ヒッ ヒッとジョビかルリの鳴き声が聞こえます。鳥の姿を求め、声が聞こえるほうへ近づきました。声は暗いやぶの中から聞こえるし、昨シーズンも2個体がいた場所なのでルリビタキだと思われますが、出てきません。ヒッ ヒッの間のグッ ギュッが聞こえれば確実なのですが、その音もありませんでした。ここはまたあとで見ることにして、いつものミズキをチェックします。キビタキは今日も実を食べに来たり、追いかけ合ったりしていました。ほかのお客さんがいないかしばらく確認し、進むとジッという地鳴きが聞こえました。ホオジロ属の声の主はアオジでした。夏鳥のキビタキと冬鳥のアオジを同時に見られるのは、この時期らしい観察です。

さらに進むと、ツィーとツグミ属の声。シロハラ、アカハラ、マミチャジナイあたりですが、姿は見えません。視野のすみをすっと横切る影に反応してその方向を向きますが、一瞬動く影が見えたあと、消えます。それが3回ほど続きました。林の中のさらに暗い場所なので、苦戦します。写真はなかなか撮れませんが、鳥が多くて楽しい状況でした。1周して仲間たちに挨拶し、もう1周することにしました。時間無制限の幸せです。
ものすごく混んだ枝の奥のミズキにマミチャジナイを見つけましたが、相変わらず写真は撮れません。暗い中、一度だけ近くにとまったのですが、暗がりの中で橙色の胸が見えた次の瞬間には見えない位置に移動してしまいました。そうこうしているうち、エナガの群れの声が近づいてきて、そこにヤマガラ、シジュウカラ、メジロの声も聞こえました。さらにはチュー チューというヒガラの声も聞こえます。これはと思い、ヒガラチャレンジを始めました。周囲にいた仲間も一緒に挑戦。混群の鳥を一つ一つ確認していては効率が上がらないので、シルエットを目視で見分けます。ヒガラは小さく、丸みがある体形で尾羽が短いシルエット。尾羽が細長いのはエナガです。エナガほど細長くないですが、長めなのはシジュウカラ。目を凝らすと、胸の黒線も見えます。橙色が見えるのはヤマガラ。小さくて尾羽は短いですが、頭が小さくスリムな体形なのはメジロ。こんな感じで双眼鏡やカメラを覗くことなく、目視で消去法を行い、ヒガラらしいシルエットを見つけたらカメラを向けます。こうしてゲームのような観察に挑戦してヒガラを数回は見つけましたが、とてもすばしこいのでまともには撮れません。まあ写真は別の機会に撮ればいいやと、ゲームオーバーにして探索を進めました。

少し空が見えるところで上空を帆翔するハイタカ属に気づきました。少し前に友人がオオタカを確認していたので、写真を撮っているときはオオタカだと思っていましたが、あとで写真を拡大して確認してみるとハイタカでした。これも当地では冬鳥ですね。

観察を始めてから3時間が経過していたので、さすがに疲れて集中力も低下してきました。ポイントを確認しながら池へ向かって進んでいると、ピュルリーピュルリーのにぎやかな合唱が聞こえました。リュウキュウサンショウクイです。声が四方から聞こえるので、数個体いることがわかりました。イヌシデの枝が混んだ中の高い位置にいたので、なかなか見えません。その後少しずつ移動していき、最後はイロハモミジの比較的低い位置にとまってくれたので、仲間とともにしっかり観察できました。
池のほとりの木々もかなり色づいてきました。相変わらずカモは少ないままで池は変わり映えしませんが、カワウが巣材をくわえて飛んでいるのに気づきました。巣材を運んだ先は……潔癖で快適な生活のために生きものをないがしろにする一部の市民が公園管理者に苦情をぶつけ、コロニーを破壊させてカワウを追い出したわけですが、ここからカワウたちの反撃が始まるのでしょうか。成り行きを見守りたいと思います。

水鳥をひと通り確認し終えると、家を出てから4時間が経過。時間を忘れて全集中で鳥見に没頭できた幸せな午前でした。
1. ハシビロガモ、2. ヒドリガモ、3. カルガモ、4. ホシハジロ、5. キンクロハジロ、6. キジバト、7. アオバト、8. オオバン、9. カイツブリ、10. カワウ、11. アオサギ、12. コサギ、13. ハイタカ、14. オオタカ、15. カワセミ、16. コゲラ、17. リュウキュウサンショウクイ、18. モズ、19. ハシボソガラス、20. ハシブトガラス、21. ヒガラ、22. ヤマガラ、23. シジュウカラ、24. ヒヨドリ、25. ウグイス、26. エナガ、27. メジロ、28. ムクドリ、29. マミチャジナイ、30. アカハラ、31. ツグミ、32. キビタキ、33. ジョウビタキ、34. スズメ、35. キセキレイ、36. ハクセキレイ、37. ビンズイ、38. シメ、39. カワラヒワ、40. アオジ、41. ドバト、42. ホンセイインコ