2025年7月6日開催
晴れているのに、素直に喜べない自然観察会もあります。いや、晴れてくれてうれしいのですが、当日までずっと晴れ続けたことがおもしろくないのです。東京の梅雨は毎年、空梅雨。ほんとうに6月は雨が降りません。普通なら落ち葉の上に現れる変形菌探しを楽しめるのが6月なのですが、ここ数年はほんとうにダメですね。今年は5月に雨が多く、変形菌が早々に発生していました。今シーズンはいけると期待していたのですが、梅雨入りした途端にまったく降らなくなるのですから、ほんとうに困ったものです。
そんな状況で迎えた今年の井の頭公園での変形菌観察会。5月に発生した子実体の残りを探し出すことで進めようと考えていましたが、前夜に雷雨がざざっと降って追い討ちをかけてくれました。子実体は雨で壊れ、流れてしまいます。降るならたくさん降れば、新たな発生もあり得るのですが、短時間で止んで乾いてしまいます。これでは新たな発生もありません……

長々と書きましたが、こんな最悪な状況下で参加者、スタッフともがんばりました。これ、そうですよね?と子嚢の上部が吹っ飛んだシロジクキモジホコリの子実体を参加者が見つけて一番乗り。次いで才能豊かな少年少女がキミミズフクロホコリを見つけます。私自身は情けないことに見つけられませんでしたが、参加者に見つけてもらい、その喜びを感じてもらうのが大切なのです。答えがわかっていては、ほんとうの楽しさは味わえません。

かろうじて残っていたジクホコリのポイントでは、「葉っぱの傘」の下の子実体の状態がよいことを発見し、参加者に伝えました。ヤマグワの実生の傘でした。同じポイントでツツサカズキホコリ、シロジクキモジホコリも見つかります。ここで活躍したのも小学生。未就学時代から変形菌観察をしている強者です。参加者全員が虹色の子実体を観察し、次のポイントへ。


ここにはツツサカズキホコリがありました。例年ならもれなくガマグチフクロホコリが発生する場所ですが、まったく見つかりません。やはりカラカラ空梅雨が困りものです。最後のポイントではコカタホコリが残っていました。雨が当たりやすい場所でしたが、コカタホコリはその名の通り比較的丈夫なのでしょう。ここでは自分で見つけられた!と喜ぶ参加者がいて、うれしく思いました。最初に自分で見つけられたときの喜びを思い出します。


いい時間になりましたし、熱中症も怖いので涼しい屋内へ移動し、ワークショップ「変形菌ストラップ作り」にかかりました。シンプルなクラフトですが、結構工程がかかるもので、スタッフ総出で製作をサポートしました。すっかり時間がなくなってしまい、急ぎ足で観察した変形菌を整理し、お開きとしました。

