【開催終了・レポート】井の頭自然さんぽfn.019「夏の夜のひみつ」

イベント

懐中電灯を持って、夜の井の頭公園を探検! 子どものみならず大人もわくわくする、夏の夜長の観察会を開催しました。8月5日の日没直後、自然観察会をスタート。日の入りの時間や、ねぐら入りする生きものと暗くなってから動き始める生きものについて、話を進めていきました。カワウのねぐらを確認しつつ、七井橋の欄干で円形の網を張るオニグモの観察。橋をライトアップするので虫が集まる。そこに目をつけたクモが罠を仕掛ける。さらに、それを知ったハシボソガラスがクモを狩る。灯りという人間活動で、一つの生態系が成り立つ興味深さ。

そんな話をしているうち、次第に残照が弱まっていきます。次はコウモリ探しでした。うっすら暗くなると七井橋の周りをコウモリが飛び回る、そんな当たり前の光景がすっかり見られなくなりました。コウモリ探知機を参加者に紹介し、周囲をサーチするものの反応はゼロ。移動しながら探索を続けます。その後ある場所に至ったとき、探知機に反応がありました。その音を聞いた子どもたちも反応しました。そして明るさがわずかに残る空を背景に、元気に飛び回るコウモリの姿をみんなで目視することができました。

次に出会ったのは夜咲く白い花、カラスウリです。なぜ、夜に花を咲かせるのか。その理由はわかっているのですが、風貌が妖しげなので神秘的に感じます。参加者たちはカメラで激写しました。

そして今日の観察会のクライマックス、セミが羽化している場面を探しました。時期的に多いはずですが、なかなか見つかりません。ライトで照らしながら、舗装されていない場所を求めて移動。わたしのそばについていた7歳の男の子が、夏の夜のヒーローでした。

「あれ、羽化じゃないかな」と、ユズリハの木の枝先で羽化しているアブラゼミを見つけてくれたのです。「すごい!よく見つけたね。お手柄だよ」と褒めると、軽く照れながら「どういうところを見ればよいか、先生がアドバイスしてくれたからです」と、7歳の子とは思えない言葉が返ってきました。この言葉で、わたしは一発ノックアウト。彼の肩を、ぽんぽんとやさしく叩きました。この小さな成功体験は、彼にどう響くのでしょう。

その後、羽化中のアブラゼミがもう1個体見つかり、順次脱皮に成功。尾が抜けたところで参加者全員が拍手しました。暑かったけれど、素敵な夏の夜長でした。

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