2025年4月19日開催
新緑があざやかな井の頭公園で、27回目の井の頭自然さんぽを開催。天候には恵まれましたが夏日になり、熱中症に注意しなければならないほどでした。今回のテーマは渡りの夏鳥探し。野鳥全般を観察しますが、とくに渡りの途中に公園に立ち寄っている夏鳥を、宝探しのように見つけて楽しもうというものです。参加者は約50人。おかげさまの人気で、参加者が少し多くなってしまいました。そこで今回は参加者を3つの班に分けて、移動する経路も3つに分散。人にも鳥にも迷惑をかけないように配慮しつつ進めました。
わたしの班は池の周囲の林の大半を探索する長いルートを選びました。序盤で遠くのツグミの地鳴きを聞き取り、池の向こうに見える剪定されたラクウショウの梢近くにとまっている鳥のシルエットを見つけ、望遠鏡に導入しました。その後、本格的な探索にかかりました。声だけに頼らず、随所で立ち止まって目を凝らします。「声に頼る時代は終わった」というのが、わたしの探鳥道。ひと声鳴いてくれればそれは見つかりますが、鳥が無言のときも少なくありません。とくに開けた場所では、しっかり目視するようにしています。そうして1時間ほどかけて丹念に探しましたが、残念ながら林の夏鳥の気配はありませんでした。先行する他班はセンダイムシクイを観察しましたが、そこに合流して大人数にならないように、時間差をつけて移動します。結局、夏鳥の声も姿も捉えられず、朝から長く逗留しているオオルリを観察することに。イヌシデの木の中をさかんに飛び回る2羽のオオルリ。捕らえたシャクガのイモムシを枝にバシバシぶつけ、しばいて食べているのを何度も観察しました。あとで聞いた話ですが、そのイモムシに寄生しようとする寄生バチをも、オオルリはフライングキャッチで採食していたそうです。すでに茂っている葉が観察の妨げになり、参加者は苦労しました。このとき参加者の鳥好き少年たちが交わした会話が秀逸でした。「葉がなければ、もっと見やすいのに」「でも、葉っぱがなかったらオオルリはこないよ」小学校低学年の子どもたちの会話とは思えない、本質を捉えた言葉です。鳥合わせの後にその話を紹介しました。気温が上がって木々の葉が展開し、やわらかい葉を食べるためにイモムシが出てくる。それにタイミングを合わせるように渡ってきて、イモムシが多い(さらに寄生バチが集まってくる)場所を見つけ、オオルリは早朝からずっととどまっています。鳥には虫がなくてはならない。虫は植物がなければ生きていけない。植物は鳥なくしてはうまくやっていけない。観察を楽しみながら、そういう生きもののつながり、つまり自然の仕組みを知ると、緑は大切ということが具体的に実感できます。美しい夏鳥の観察と撮影を楽しみながら、自然をたいせつに考えたいですね、と参加者に伝えました。終了後にいただいた拍手と、少年たちとの記念写真は私の宝物です。


観察会中の観察種
1. カルガモ、2. キンクロハジロ、3. キジバト、4. オオバン、5. カイツブリ、6. カワウ、7. ゴイサギ、8. アオサギ、9. コサギ、10. ツミ、11. オオタカ、12. カワセミ、13. コゲラ、14. オナガ、15. ハシボソガラス、16. ハシブトガラス、17. ヤマガラ、18. シジュウカラ、19. ヒヨドリ、20. ツバメ、21. ウグイス、22. エナガ、23. センダイムシクイ、24. メジロ、25. ムクドリ、26. シロハラ、27. ツグミ、28. オオルリ、29. ハクセキレイ、30. ドバト、31. ホンセイインコ